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老大学生奮闘記#12 パウロの伝道

 

 アレキサンドロス大王は廻り回ってヨ―ロッパにヘレニズムをもたらしました。これはこれで考える文化ですからこの地域を形作ることに大きく貢献しました。

しかしそれ以上に大きな影響を与えたものは1世紀になされたパウロの伝道です。実はペテロ、ヨハネも関わっているのですが、流れの方向を決めたのはパウロの伝道でしょう。当時、福音はバビロン、エジプト、インドにも広がりましたが、現代文化を考えた場合、何と言ってもヨーロッパにもたらされた福音です。この福音の精神、それはヘブライズムです。

 

 パウロは三回の伝道旅行と一回のローマへの旅行を行いました。その二回目に小アジアのトロアスと言うところにいたとき、彼は幻を見てエーゲー海を渡りヨーロッパに踏み入りました。彼はピリピ、マケドニア、アテネに来ました。彼はここでヘレニズムの哲学と出会って議論の虚しさ、やるせなさを抱えてコリントへと向かいました。ここで二回目の幻によって励まされ、コリント教会の礎を据えることに尽力しました。このことが今後、福音が西へ西へと進む方向を与えたことになります。

 

 当時ローマ世界のインテリたちの精神的支えとなっていたのはストア哲学です。哲学に問題があるとすれば知的な納得で魂の平安が得られるかです。しかし一旦知的な納得が得られるとそれを固守し、その上に人生の基礎を築こうとします。

福音はと言えば下層階級、奴隷たちに受け入れられました。また裕福な商人たちにも受け入れられていました。初期の教会はこうした知性との対決を余儀なくされたのです。一方は知的な納得を与えるものです。一方は魂の平安を与えるものです。当然後者の方が有利のはずですが、神への反抗心を持つ人間の精神はそう簡単ではなかったのです。

 

         協力牧師 Amos (A.S.S.)